ヒラエッセイ
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2007年3月5日(月) 領収書
都議会議員が政務調査費を政務調査以外の事に使っているということについて、あなたどう思いますか?
領収書を付けることは法律で決まっていない。だから付けていないんだと、当たり前のように言う態度について、どう思いますか?
あなたは飲み会の幹事をやったことがありますか。やった経験がある方、誰かにやってもらった経験がある方、多いでしょう。いや、ほとんどの人はどちらかの経験があるはずです。
楽しい飲み会が終わり、数日経ったころ飲み会の幹事から、会計報告をされた経験のある方、多いでしょう。
集めた金はいくらで、支払った金はいくらなのか、そして残った金はいくらで、それをどうするのか。よほど親しい友人だけの集まりでない限り、そうした会計報告がされるのは、常識と言っても良いです。そしてその会計報告にはレシートが貼り付けられ、「あ、あの野郎が飲み放題品目外のウイスキーを注文したから高くなったのだな、馬鹿野郎!」と、わかるようになっているのもごく普通です。
しかし飲み会の会計報告に領収書の添付なんて義務づけられてはいません。義務づけられてはいないけれど、付けます。それは皆から集めたお金を幹事の判断で使うという場合には、その使い道をオープンにするという意味で、礼儀として行っているのです。
税金というのは、皆から集めて、皆のために使うものです。政務調査費だってその一つです。しかし、法律にないから領収書は付けないのだと、議員は胸を張るのです。そこで出資者である納税者に対して失礼ではないか、というような疑念はまったく持たないのです。
飲み代を徴収したときに、その金をすぐさま自分の財布の中にいれてしまう人なんてまずいません。この金と自分の金は別です、と宣言するがごとく、違う袋にしまうのが礼儀であり普通の行為です。明らかに他人の金だと言うことを幹事はよくよく理解しているのです。
ところが政務調査費はもらった時点で、自分の金だと思ってしまうらしいです。だから、バイクを買ったり車検に使ったり、キャバクラに使うのです。
この、民間との感覚のズレはいったい何なのでしょう。議員になるとそうなっちゃうのか、それともそう言う人種が議員になりたがるのか、いったいどっちなのでしょう。
まったくふざけた奴らだと、僕は出張帰りの新幹線の中で、週刊誌を読みながら憤慨していたのであります。
まったく出張なんて、くたびれるだけでなんの得もありゃしない。そのくせ最近やたらと増えちゃって、苦痛なのです。
あ、そうそう、そう言えば最近少しだけ利が発生しています。ネットで新幹線の予約をすると、運賃が安くなる方法があるんです。3日前までの予約が必要で、朝6時台ののぞみか、それ以外の時間だとひかりじゃないとダメなんですが、東京と大阪の往復なら、数千円浮いちゃうんです。
もちろん会社には正規料金を請求しますから、差額は僕のポケットに入ります。タクシーの場合は領収書が必要なんですけど、鉄道利用については領収書の添付が義務づけられていないんですよ。
そんなことはともかく、とにかく政治家はけしからんな!
2007年3月6日(火) アルツハイマー予防法
会社で、産業医の健康相談を受けた。特に相談したかったことがあるわけではないのだが、人事部の担当者が「今日は誰も受ける人がいないんです。誰もいないと先生に悪いから、ちょっと来てくださいよ」と頼まれてサクラになった。
部屋にはいるとすぐに先生が質問してきた。
「何かありますか?」
こう聞かれても、何もないから困った。しかしなんとか僕は話を引っ張り出した。
「最近急に花粉症になったみたいで、くしゃみがひどいんです」
「ほほう。そりゃ花粉症ですね」
だから花粉症だと言ってるのだ。
「抗ヒスタミン剤を呑むか、マスクでもするしかないのでしょうか?」
「そうですね」
話は終わった。しょうがないから帰ろうとしたら、先生が僕を呼び止めた。せっかく暇つぶしに呼びつけたサクラを逃がすものかと、相手も必死だ。
「ストレスは、どうですか?」
「ストレス、ですか。特に自覚症状はないですけど・・・・・・」
先生は身を乗り出した。
「自覚症状が出た頃には遅いのがストレスですよ。ストレスを馬鹿にしちゃいけません。御社にだって、ストレスで会社を辞めた人が何人もいらっしゃるでしょう?」
特に営業職などで、客との折り合いが悪くて出社拒否症になっちゃう人がいる。昔は「根性がない」なんて言われたものだが、今では「ストレスによるなんとか症候群」なんて名前を付けて優しくしてくれるのだ。
「僕は特にないですねぇ」
「そうですか。最近物忘れが激しいなんて事も、ないですか?」
「ないですけど、なんですかそりゃ?」
「いや実は、最近では若年性アルツハイマーなんていうのもありましてね」
アルツハイマーかよ!
「その、アルツハイマーになる原因の1つがストレスだとも言われているんですよ」
何でもかんでもストレスのせいにしたがる昨今だが、アルツハイマーもそうらしい。
「強いストレスがホモシステイン酸という物質を増やすんですなぁ。この物質が、アルツハイマーの原因として注目されているんです」
「そうなんですか。じゃ、それを抑える薬ができたら、アルツハイマーは予防できるかも知れないですね」
段々医学談義みたいになってきた。
「この会社には、パニック障害の人もいますよね、数名」
「らしいですね」
従業員の病気のことは会社も秘密にしているので、誰がどうとはわからないが、噂くらいは耳に入っていた。
「まぁ、他にもいろいろありましてね、とにかくストレスが原因と思われる病気があれこれとあります。そしてついに、アルツハイマー君もか!ということになったわけです」
なんだか先生は嬉しそうだった。そしてつづけた。
「そうなるとあーた、問題はホモシステイン酸なんかじゃありませんよ。根本のストレスにもう一度目を向けるべきでしょうな」
そういうと、先生はニタニタ笑った。
「でも先生、ストレス回避なんて現実的には無理じゃないですか?」
すると先生はまた身を乗り出した。
「そう。今となってはもう私もあなたも遅いと思います。しかし、これからの若い人には強力な予防策があるんですよ」
「なんですか?」
僕がそう訪ねると、先生は静かに噛みしめるように言った。
「結婚しないことです」
2007年3月7日(水) お袋さんとケツの穴
「お袋さんよ〜♪お袋さん〜♪」
こりゃ、カラオケで僕がギャグって歌う曲目だ。作られて何年経つのかしらないけれど、今頃になってまだ話題になるのだからたいした歌だと感心してしまう。
勝手に作品を変えられたら腹も立つし、すぐに謝らないで言い訳する森君の態度にも腹が煮えくりかえるというのはよくわかる。森くんにも言い分はあるだろうけれど、正論という見方では爺さんが正しい。
しかし、この場合エンタの神様風に言えば、
「その件を森君に突きつけて『お前になんて二度と歌わせてやらないよーだ!』と意地悪を言って腹にくすぶった不快感を取り除こうとするのか、それとも虚勢を張って『今までのことは問わないし、気にしないさ、わっはっは。しかし、今後はオリジナルのまま歌ってくれたまえ』と人間の大きいところを見せつけるのかは、自由だ〜!」
となるのだけれど、どういうわけかご本人は前者を選択した。
「自由だ〜」なのだから自由なのだけど、なにも人生の晩年に至って世間様に「わたしゃ大物じゃありません、小物です。ケツの穴、ちっさい爺さんです!」と暴露することもないんじゃないの? と思ってしまう。長年の努力の末やっと築いた偉人説を、一瞬にして「ただの爺さんだった」に自ら変えてしまった。
見方を変えれば、「森には頭に来るけどファンのために歌うことは許す」くらいのことが言えないんじゃ、「世の中の傘になれよと教えてくれた」お母さんに、爺さん自身は恵まれなかったのだな、という悲しい話にも見えるのである。
2007年3月12日(月) 警察教育に異議あり
日本の警察は優秀なのだろうか。
日本の警察は、世界の中で、本当に優秀な部類にはいるのだろうか。
数ヶ月前、郵便局に強盗に入った巡査長が逮捕された。そしてこんどは、パチンコ屋の店員から金をひったくった警部補が逮捕された。
これはどうしたことなのだろう。
これでも日本の警察は優秀と言えるのだろうか。
これで、世界に誇れる警察官を育成していると言えるのだろうか。
僕は大いに疑問を持っている。
警察はこの事件を、大いに分析し、警察官の知識、技能そして資質について問題を感じ、教育のあり方を考え直すべきではないだろうか。
手の内を知ってるはずじゃないか。警察が何をどう捜査して、どう犯人を絞るのか、何が証拠になるのか、どうしたら証拠を残さないのか、知ってるはずじゃないか!
それなのにすぐ捕まるなんて、馬鹿じゃないの?
せめて、数年間は逃げ回れる程度の人材の確保と教育をして欲しいものだ。