ヒラエッセイ

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2004年1月8日(木) 2004年の心配

 紅白歌合戦というのを久しぶりに見た。
 やっぱり、NHKって堅物な社員しかいないのだろうか。歌手たちが歌の合間に飛ばすジョークがほとんど静寂を生み出しているではないか。台本はみんなNHK側が用意して、出演者はそれを喋っているだけだろうから、ギャグのセンスを一切持ち合わせていないNHKそのものを象徴しているわけだ。
 応援に来た立川談志は司会者に何か質問されて、「なんでだろーなんでだろー」とアゴいさむの再来みたいな顔をした漫才師の「テツandトモ」のまねをしたけれど、このギャグはこれまでの談志の実績がすべて吹き飛ぶくらい白けてしまった。落語家があれだけ白けるというのは尋常じゃない。金を払ってわざわざ談志を見に来た客が寝たくらいで、その客をたたき出すという談志様。その談志様ですら、「こんなつまんねーギャグ、やれるかよ!」と台本の修正を要求できないほどNHKの力はまだ強いらしいのだ。
 これがヤクザの演芸会だったら、脚本を書いたお兄いさんは、指詰め。侍が催したお殿様のための舞台だったら、脚本を書いた侍は切腹ものだ。果たしてNHKの責任者はどうなったんだろう。多分どうもならないで、来年も白けちゃうんだろうなぁ。
 それにしても、「はなわ」は今年からどうやって生活していくんだろ。まさか、佐賀から始まった地域ネタを都道府県から外国にまでその対象を広げて行くんじゃないだろうなぁ。それは多分売れないぞ。だいたい地域をコケにするネタ歌は、吉幾三の二番煎じだ。
 平井堅も問題だ。今までにないタイプの歌手で、個性的だし歌もうまい。「大きなのっぽの古時計〜」はよかった。しかし次は「見上げてご覧〜夜の〜星を〜」と、こともあろうに坂本九ちゃんの霊まで引っ張り出した。まさか次は「手のひらを太陽に」あたりを少年合唱団引き連れて歌うんじゃねーだろうな! とか思ってしまう。そしてつぎつぎに歌いつぶして、「小学校の音楽の教科書に出てくる歌を完全制覇しました」とか言い出しそうなのである。引退したら、小学校の音楽教諭の道がが待っているだろう。
 似ているようで歌唱力がずっと落ちるのが森山良子の息子、森山直太朗だ。残念ながら母親の歌唱力の半分しかもらえなかったらしく、ほとんどが裏声。おまえの歌はヨーデルか? なんつー感想を持ったのはぼくだけだろうか。森山君の強みは「独唱」だ。片っ端から独唱ばかりやってれば、コンサートでバンドが不要だから、ギャラがごっそり独り占めできそうだ。客が来ればだけど。
 氷川きよしはあのひょうきんな顔に似合わず、すばらしい歌唱力だ。しかし、あの歌唱力に対してどうしてあんなくだらない歌ばかり提供するのだろう。紅白で歌った「白雲の城」はまあいいとしても、「きよしのズンドコ節」って、なんじゃありゃ。左卜全(ひだりぼくぜん)の「ズビズバ〜パパパヤ〜」とあまりレベルが変わらない。今年はなんだ。クリスマスあたりに、「きよしのこの夜」だろうか? 久々の演歌の星なんだから、もうちょっとまともな歌を歌って貰いたい。
 最後に紅白とは関係ないけれど、ダンディ坂野君の今年からの生活もぼくは大いに心配だ。「ゲッツ!」という一発芸。あれのどこがいったい「芸」で、何が面白いのかまったくぼくには理解できないのだが、あれだけでとりあえず稼いでいることが凄い。「コマネチ!」の一発芸だけで終わりにならなかったビートたけしのようになれるとはとうてい思えないので、「ちゃんと貯金しているかい? キリギリスになっちゃいけないよ」と老婆心ながらアドバイスしたくなるのである。
 というわけで、テレビを見ながらいろんな人の2004年を心配してしまった。
 そして、2004年の初出勤。社長の年頭の挨拶はリストラの話しだった。

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Akiary v.0.51