ヒラエッセイ

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2005年3月21日(月) ずばり言うわよ

「陰でこそこそ悪口を言うのは悪いことだ。言うなら堂々と言いなさい」
 昔、学校の先生に良くこういわれていたものだ。
 これは、陰で言わないで、目の前で悪口を言えという意味ではない。「堂々と言う」ということは、誰に聞かれても恥ずかしくないようにきちんとした言い方をしなくてはならないのだから、人に対面したときの礼節をもって接することを要求される。だから、悪口になりようはない。
 とどのつまり、「悪口は言わずに解決しなさい」という意味になる。
 ところが中には、「陰で言うのは良くない。本人の目の前でその悪口を言ってみろ。ほら、言え。堂々と言ってみろ。ほら言えないだろう。言えないのならやめろ!」なんてやる先生がいたりするから困ったものだ。
 目の前で言えないことだから言ってはいけないのではなくて、他の解決方法を導く教育をする場面なのに、これではどうにもならない。
 こういう頭の悪い先生が担任だと子供は不幸だ。

 最近、他人にズケズケものを言う大仏みたいな占い師の番組を見たが、これを見いると、陰で言う悪口よりももっと気分が悪い。大して知らない相手に対して、ここが悪い、あそこが悪い、これをこう変えろと言い放題。そのしゃべり方にも礼儀がない。
 まぁ、そういう番組なんだからいいだろうと言えばそうなのだが、これを見ていてつくづく、「悪口って言うのは、本人のいないところでやるのが礼儀だな」なんて、妙な納得をしてしまう。
 それにしても、あの不愉快なプロ野球監督の奥さんがやっとテレビから消えて「せいせいした」と思ったら、どうしてまた同じようなのを連れてくるんだろうね、テレビ局って奴は・・・・・・。

2005年3月22日(火) ベンチャー企業弁護人

 だいたいね、根本は「ひがみ」ですよ「ひがみ」。
 若くして事業に成功して金持ちになって、まだまだ若さが有り余るうちにそれを使って人生を楽しむことができる。言ってみれば「若さと金」が合体していることへの「ひがみ」ですね。
 なにしろ、財界の人たちなんていうのは最近逮捕されちゃった人などを除けば苦労人が多いですからね。昔は貧乏で、平社員からこつこつやってきて、他人にへつらったり、正義感を少々犠牲にしたり、友達を蹴落としたり、侮辱に耐えたり、そんなことをしながら我慢してやってきたんですよね。
 それでやっとトップになったって、せいぜい6年から10年で退任でしょ。
 だいたい、爺さんになってから金回りが良くなったって、死臭に近い加齢臭に老人性イボとシミの合体した面ですよ。いまさら女の子がついてくるわけもないし、バイアグラ飲んでも反応ないでしょう。
 たった数年しかトップとして君臨できないのに、そのときはもうよぼよぼなんだから、そういう人たちが私の依頼主に嫉妬するのは当然といえば当然ですよ。
 確かにね、依頼主は言いたいことをいいますよ。だけどね、そんなこと関係ないでしょう。言論の自由ってものがあるんだから。テレビ局だって報道の自由とか何とか言って、人が悲しむようなことだって平気でするじゃないですか。
「金で買えないものはない」って言ったからって、そんなことそのまま鵜呑みにするほど馬鹿じゃないでしょう、テレビ局の会長までやってる人なら。
 だいたい、そんなことよりもあの人は「株式会社」ってものを知ってるんですかね。株式を公開するっていうことがどういうことか知ってるんですかね。全く疑問ですよ。
 株式会社っていうのは株式を発行してそれを投資家に買ってもらうわけでしょ。それが株主ですよ。株主には取締役を選任する権限がある。つまり、会長とか社長というのは株主に雇われているんですね。株主が経営者を選ぶのであって、経営者が株主を選ぶことはできないんですよ。
 ところがあの、ラジオ局の社長はなんですかね。自分の新しい雇い主に対して牙をむいてるんですから、正気の沙汰とは思えませんよね。
 普通、執事だって屋敷の持ち主が変わったら、新しいご主人様にもお仕えさせていただくようにアピールするか、屋敷を出て行くかのどっちかですよ。新しい主人が気に入らないなんて発表する執事がいますか。
 JALだって東京ディズニーランドだって株主になったら株主優待っていうのがあるんですよ。それほど株主というのは株式会社にとってありがたい存在なんです。
 ところがあのラジオ局は優待どころか非難囂々ですからね。いったい何なんでしょうね。
 ああいう、株式会社の経営者というものをわかっていない人が経営者になってるんだから困っちゃいますよね。
 それで、なんですか、放送局というのは使命があるとか公共のものだとか訳のわからないことを言ってるじゃないですか。
 テレビの方もラジオの方も、とてつもなくくだらない番組があれだけあって、なんでそんな立派なこと言えるんでしょうねぇ。タレントが集まってわいわい遊んでるだけみたいなバラエティーなんて、いったい何の使命があるんでしょう。そんなだから「別になくなってもいいんじゃない?」とか思っちゃうんですよね。
 それにあの、他のマスコミの人たちも馬鹿ですよねぇ。
「株式の取得は法的に問題がなかったとしても、男としてどうなんでしょうかあのやり方は?」
 って、聞いたアナウンサーがいますね。あの人、死刑ですね。
 株式の取得方法がどうか、株式の何パーセントを取得したから今後どういう展開が考えられるのか、というデジタルな話をしているときに、「男としてどうか?」なんて、どうして急に森田健作みたいな超アナログなことを言い出すんでしょうか。彼は千葉県知事選で森田健作に一票入れたんでしょうかねぇ。僕は入れましたよ「俺は男だ」のファンだから。
 話は戻しますけど、株式の取得方法、持ち株率と権利という話は法律の問題なんですよ。法律的問題以外に「やりくち」が問題にされるものも確かにありますけどね、株式という全世界的なものについてはルールがすべてなんです。「男として」とか「日本男児なら」とかそんなこと言ってたら、みんな海外の投資家にやられちゃうでしょ。
 私の依頼主がもしもインド人でターバン巻いてても、「あのやりかは男としてどうでしょう?」なんて言いましたかね。言わないでしょ。グローバルな市場では外人がやっていいことは日本人もやっていいのですよ。
 あのアナウンサーはオリンピックでも「今の抜き方は男としてどうなんでしょうねぇ」なんて言うんですかね。自分がなんの話をしているかもわかってないんだから、どうやってアナウンサーになったのかな。
 もちろんもう辞職したでしょうねぇ。え、してない? あれだけ間抜けな質問をしておいて未だにアナウンサーをやっているというのは、男としてどうなんでしょうねぇ。
 とにかく、何もかもがおかしいですよ。ちゃんと権利は持っているんだからそれなりに相手は対応すべきでしょう。おかしいですよ。株持ってるんだから。大株主なんだから。 依頼主が「提携をしたい」って言ったのに対して、
「何がしたいのかわからない」
 って、あのテレビ局の会長さんも他のマスコミも言ってるけど、何をやりたいかをどうしてマスコミのインタビューで説明しなくちゃいけないの? そんなことは、あなた達が株主のお話をお聞きする場所を作って、「お聞きする」という態度でやるべきことでしょうよ。
 何がやりたいのかわからないから会わないじゃなくて、会って「どういたしましょうか」ってのが株主に対する取締役の態度でしょうよ、普通。馬鹿じゃないの、あんたたち。
 それにね、株主が株主になるのに正当な理由なんていらないのですよ。「何となくこの会社に君臨したいから」っていう理由でもいいの。株式会社にして株式公開をしているということは、そういうことなんだから。それでも株主の権利には従わなくちゃいけないんですよ。
 これがベンチャー企業じゃなくて、長年優良企業として存在していたようなところがやったことだったら、同じような反応しますかね。しないでしょう。
 ようするに、これはみんな「ひがみ」なんですよ。嫉妬から始まって、おかしな行動をしてるんです。
「下っ端から地をはうようにして頑張って、やっとこの年になってトップに立った俺が、どうしてあんな30歳以上年下のガキに頭を下げなくちゃならないんだ!」
 とか思ってるわけでしょう、きっと。
 若いとか、生意気だとか、顔が嫌いとか、そんなの関係ないんですよ。あんたの娘が連れてきた男の評価してるんじゃないんだから。「おまえの話など聞かない!」なんて言えないのですよ。わかる?
 わからないのかなぁ。嫉妬に狂うとそういうこともわからなくなるのね。男の嫉妬って怖いねぇ、ほんと。

2005年3月24日(木) テレビ局側弁護人

テレビ局側弁護人

 裁判で負けちゃいましたのでもうやけくそです。
 こうなったらもう、裁判のことは放っておいて、彼がいかに頭がカボチャな男かを憂さ晴らしも含めて立証したいと思います。

1.頭を下げる行為の意味がわからないカボチャ。
「おかしいですよ。大株主ですよ、僕は。僕が逆の立場だったら、頭を下げて『よろしくお願いします』って言いに行きますよ」
 と、彼はラジオ局の大株主になったときに会長に対していいました。
 人が頭を下げるというのは、「感謝や尊敬がある」か、「屈服した」かのいずれかです。
 よくぞ株主になってくれました、という歓迎の場合は「感謝や尊敬」で頭を下げます。こういう感情で頭を下げることを人は「礼儀」とよび、「当たり」です。
 しかし敵対的買収では、買収された側は「屈服」によって頭を下げることになります。この場合は「仕方なく」頭を下げているんです。
 ですから、今回の場合、会長が当たり前に頭を下げることはない。こんなことすら理解できないで不思議がっているんだから、呆れます。

2.問題分析のできないカボチャ
 先日、どこかの単独インタビューでアナウンサーに、「何がしたいのか説明してください」と言われた彼は「もう100回以上も言ってますよ。イヤになりますよ。どうしてわからないんですか。不思議ですよ」なんて答えています。
 独占インタビューに応じているんです。それで一つの番組になるんです。それなら視聴者の側に立って考えれば、「初めて自分の考えを聞く人もいるだろうし、最初から今までをまとめた話を聞きたいのだろうから最初から説明するべきだ」と考えるのが正常です。街角でいきなりマイクを突きつけられたのとは訳が違う。今どういう企画でどういう形式で報じられることに対しての説明なのか、わかっていない。本当に東大でたんでしょうか?
 それに、説明した内容が理解されなかったことについて「不思議だ」と言ったのには驚きましたね。
 さて、ここで問題です。
「説明する説明者」と「説明を聞く側の大衆」。さて、調整が可能なのはどっち?
 たいていのアホでもわかります。説明を聞く側の大衆は「今日は理解力をアップさせておこう」なんてそんなことできるわけがない。だから、説明者が説明を聞く相手に合わせて、説明内容は手法を調整する以外にはないのは明らかです。
 理解されなかったのなら、それは理解できない方が悪いのではなくて、説明者に相手のレベルを理解して説明する能力がなかっただけのこと。
 最初はそれでも仕方がないとして、それがわかったのなら説明手法を変えればいいのに「理解できないのが不思議です」しか言わない。問題は説明内容であって、理解できない大衆ではない。問題分析と対策という経営者の初歩みたいなことすらできないんでしょうか、あのカボチャは。

3.報道も理解してない馬鹿
「フジテレビ買収なんて妄想ですよ。妄想妄想。何度言わせるんですか。妄想です。報道って嘘ばかりですよ。嘘ばかり書いてます」
 と叫んでいた彼。
 テレビのインタビューで彼は、
「LOBって言う方法だってあるんです。LOBならどんな大きな会社だって変えちゃうんですよ。そういうもんなんです」
 とも言いました。
 報道というのはその人が言ったまま、その言葉だけを書いている訳じゃありません。発言した内容からとれる意味を解説して報道しています。言ったことだけ報道していたら、どこの新聞もどこのテレビ局も同じことしか出てこない。
 あの時期にLOBの話を得意げにすれば、「LOBでフジを買う」と言ったのだと理解するのが正常です。それを彼は妄想だという。どういう脳みそをしているんでしょう。
 自分が何を言えば相手がどう意味をとるのか、そんなこともわからない。あの頭はやっぱりカボチャなのでしょうか。

4.金で買えないものがまだ見えないカボチャ
「お金で買えないものは差別なんですよ」
 と、彼は言いました。差別されているものだけが金で買えないというのか、それとも金で買えないものを彼が差別と命名しているのかは不明です。いずれにしても彼の言いたいことは、金も含めて、「ルールに従えばルール通りに物事は動くもの」ということを言いたいらしいです。
 誰が金を出そうが、その金額を出せば買えるのがルール。誰が持とうが、その株を持てば会社を支配できるのがルール。そうでなければそれは差別だ。そう彼は言いたいわけです。
 それは正論ですが、こういうルールにはデジタル部分しか書いてないんです。実際の世の中にはそれ以外にアナログの部分がたくさんある。義理とか、人脈とか、プライドとかそういうもの。これはルールには書いていないけれど大きなものです。
 金を出してもあいつには売りたくない。金が足りないけどあいつには売ってやる。そういうことも世の中にはある。
 今回のことで彼は当然それを身をもって知ったはずです。周りの風当たりを見て、「どうしてなんだ?」と感じたはずです。
 同じ金を出すなら、もっと発言に気を遣って無用な反発を招かないようにするとか、腰低く接して相手のプライドを満足させる方法もあったとか。
 多くの経験をしてきた経営者はこの辺のツボはよく知っています。正論だけじゃことは進まないことを知り尽くしている。
 その辺が、机上の論理以外何も持っていない彼と経験豊かな海千山千経営者たちとの違いでしょう。
 若ければ、経験がなければそれを知らないのは仕方がない。しかし、今に至っても「金じゃ買えない、アナログの部分がたくさんあるんだ」ということに気づかない彼は、どう考えてもカボチャです。

 というわけで、今回の裁判では負けちゃった我々ですが、負けたのはあくまでもデジタル分野。
 確かにルールはデジタル的なものだけど、どのルールを行使するかを決めるのはアナログ的な人の気持ち。ルールの範囲内での行動にもアナログ的な人の気持ちが大きく作用することを、彼は理解できないらしい。
 いくらルールとしてはセーフでも、人の気持ちを大事にしないのなら、ひどいしっぺ返しを食うこともある。彼もいずれそれを知るときが来るでしょう。
 あるキャスターが、「50才になった彼が楽しみですね」と言ったけど、私もそう思う。
 彼はきっとすごい奴なんです。あの年にしてはね。でもやっぱり人生経験が足りない。
 デジタルでは勝利しても、アナログ的にはどんどん彼に向かってあちこちから牙がむけられていくでしょう。これからパンプキンな彼がその牙をどうかいくぐっていくのかが見ものですね。

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