ヒラエッセイ
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2005年6月1日(水) ダイエット
最近、山手線に乗っていると、液晶の画面でいろいろな情報を流している。
その中で僕のお気に入りは「英語でシャベリオーネ」だ。
「英語で、『早起きは三文の得』はなんていうか?」
こんな問題が出される。これが出た瞬間、少なくても僕を含めた5,6人は考えモードになっている。
「ええと、Getting up early man will gain 3-mon かな」
なんてアホな回答を頭の中に並べていると、答えが映し出される。
「Early bird catches the worms. 」
なーるほどね。
こう納得するのだが、翌日には忘れている。
次に面白いのがダイエットのCMだ。
「やせ組!」
とでっかく出てくるこのCMはとっても不思議。
なにやら美人コンテストのような場面が映し出されるのだが、これはダイエットコンテストらしい。つまりこの間までおデブちゃんだった女性が見事にダイエットに成功し、そしておデブちゃんだったころの写真と共に、壇上に上がる。
「70Kg→45Kg」
こんな見出しが出てくると、この画面の近くにいる女性3人くらいは目が釘付けになっている。
「以前は、おなかがつかえて、自分の足の爪が切れなかったんです!」
そんな赤裸々な証言をするのは、かわいい顔の幼稚園の先生。
しかし、次の言葉が僕にはどうも引っかかる。
「わたし、結婚するんです!!」
これを意訳すると、こうなる。
「デブは結婚できません」
何とも激しい発言じゃないか。
こんな場面の紹介もある。
あまりかわいくない30代初旬くらいの女性が、両手をお星様きらきら状にして手を振ったり、ぎこちないポーズをとって、その写真をスマートでかっこいい男性が撮影している。そして彼女は語るのだ。
「以前は、写真を撮られるのが嫌だったんです。でも、今はたくさん写真を残したいと思います」
美人でもなんでもないので、変化はおデブちゃんか否かしかない。つまり、これを意訳すると、こうなる。
「デブは写真に写る価値がない!」
これまた激しい。
さっきまで二人で証券の投資リスクについて話していたサラリーマン二人が、このCMを見てつぶやいた。
「つまりこれってさ、結婚したあと45Kgから75Kgくらいにリバウンドするリスクが極めて高い女ってことだよな」
「そうだろ。だからさ、やせてるうちに証拠写真をとっておこうって話だね」
「そうすると、リスク対策としては、恋人の幼少時代から現在に至るまでの写真を確認するってことが必要だな」
そういうと、さっきまでダイエットのCMに釘付けになっていたちょっとおデブちゃんな女の子は、何事もなかったかのように視線を手元の雑誌に戻した。
その雑誌からは今にも現実に飛び出してきそうなくらいおいしそうなケーキの写真が載っていた。
「どうせ元に戻るならこれ食べてた方がいいわ」
そんな彼女の心の声が聞こえるかのようだった。